2000年6月6日放送 「留学から就労ビザの変更(不許可後の措置)」 |
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中野先生こんばんは、今日もよろしくお願いします。 |
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はい、こんばんは。私の方こそ今日もよろしくお願いします。 |
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先生今日は、リスナーの方から手紙が来ていますのでこの方の相談 に答えてくれますか。では読みますね。シンディーさんいつも役に立 つ情報を有難うございます。私は中国から日本語学校に勉強に来て いましたが先日卒業しました。卒業後は大阪の会社に就職が決まっ たので、先日、就労ビザへの変更をしたのですが、不許可になってし まいました。不許可になったので国に帰らなければならなくなったの ですが、就学ビザがまだ20日位残っています.入管の人の話ではこ の20日の間にもう一度申請をすれば変更許可がもらえることもある と言われました。私はどんな申請をすればビザがもらえますか。とい う相談ですが先生よろしくお願いします。 |
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分かりました。といってもどんな内容の申請をしたのか分からなかっ たら答えようがないのですが、シンディ−さんもう少し詳しいことが分 からないかな。この方の経歴とか就職しようとした会社がどんな業務 をしているかとか。 |
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先生、この手紙と一緒に変更の申請をしたときに提出した書類のコ ピーが入っていますね。 |
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あ、ちょっと見せてくれますか。。。。。。。。。なるほど、ウンウ ン。。。。。。大体のことが分かりました。 |
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先生、この方は中国では大学を卒業しているようですね。 |
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そうですね。大学では食品栄養学をしたとありますね。そして就職先 の会社は焼肉レストランや不動産業等を多角的に経営している会社 ですか。 |
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はい、そしてこの方は焼肉レストランで食品栄養学を生かしてコック さんとして働きたいという申請をしたのですね。コックさんですから資 格は「技能」ですね。 |
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うん、シンディーさん相変わらず冴えてるね。ところがコックさんは実 務経験が10年必要なんだけど、この方の場合実務経験もなく不許可 になったということですね。ところで、シンディーさんね。外国人コック として日本で働こうとする場合にはね。それなりに厳しい要件がある のですよ。これを簡単に話しておきますね。 |
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先生、実務経験10年とか、給料が日本人と同等以上というほかにど んな要件があるのですか。 |
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これは入管は明確には公表してはいないのですが、例えば中華料 理を例にとれば、中国には調理人としての国家資格があるのです ね、その資格を持って何年以上働いているというような要件が必要 なのです。そして勤務するお店は町のラーメン屋さんのような庶民的 なところではなかなか難しいのです。 |
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ということは、例えば大きなお店で、メニュウにコース料理があるよう なレストランということですか。 |
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分かりやすく言えばそういうことですね。でも、私は本場の点心や麺 類の技術は奥の深いもので、「中国人の感性と技術」が要求される と思います。ところがこの方の場合は焼肉レストランですね。焼肉の 場合はあのタレがポイントなんですよね。おいしいタレを作るには本 場の独特の技術が要求されるのですがね。。。。入管の考え方は今 や焼肉は日本食といえる位にポピュラーな食べ物になったから外国 人コックの感性や技術に頼らなくてもよいという理解なのかな。 |
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やっぱり厳しいのですね。ところで先生この方の場合、再申請はど のような方法ですればいいのですか。 |
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まずね、一度このように不許可になった場合に再申請をするという のは非常に厳しいということを頭に入れておいてください。入管の考 え方はこの方法が駄目なら別の方法でというやり方は、基本的には 認めない。というスタンスのようですね。入管は「真っ白な状態で本 人が一番最初に申請した書類」を信用するという言い方をします。 |
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それでは先生、このリスナーの方の場合、再申請は無理なのですか。 |
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いえ、そうとは言えないですね。同じ焼肉レストランに同じ理由で申 請してもそれは無理ですが、この方の場合大学を卒業していますし、 この会社では他にも色々な事業を多角的に経営しているようですから。 仮に貿易業務をしているような部署があればその部署で通訳・ 翻訳・語学の始動に従事することは可能だと思いますね。 |
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なるほど、通訳・翻訳ですか。中国との貿易がポイントですね。 ところで先生、この会社のようにひとつの会社で色々な事業をしている中 小企業の場合は、再申請は難しいと聞いたことがあるのですがほんとですか。 |
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そうとも言い切れないと思うのだけれど、色々な事業をやっている中小企業の場合は私の経験でも難しい例がありましたね。「貿易業務をやらせるといっても本当は焼肉の方で働くのじゃないの?」という 言い方をね。でも私はその会社が明確にレストラン事業部と貿易事業部を区分して組織的に機能しているような場合にはそのような言 い方はあたらないと思いますね。様々な事業を多角的に経営しながら不況がきてもそれを乗り越え、従業員を解雇することなく企業を存続、維持、発展させていく経営者が優秀な能力ある経営者だと思いますね。 |
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先生のおっしゃるとおりですよね。そうすると先生、このリスナーの 場合は? |
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私はこの会社の貿易事業部で通訳として再申請をすればよいと思 いますが、入管の判断は今述べたとおりです。従って、許可がおり る確率からいえば彼の学歴を生かせる別会社や中国貿易をしてい る別会社を探して申請する方が無難かも知れませんね。でもこれから別の会社を探すのは日程的に厳しいのではないかな。そういう意味では今の会社で間違いなく中国貿易をやっていることの資料を提出し、レストラン事業部で働かせることは絶対にないという誓約書を書いて申請してみることがいいのではないかと思います。 |
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分かりました。早くこの方にビザがおりるといいですね。先生今日はどうも有難うございました。 |
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いいえ、私の方こそ、有難うございました。 |